心がくじけてしまったときの対処方法

ストレス耐性

今回は心がくじけてしまったときの対処方法について解説していきます。誰も自分のことを理解してくれない、怒ってばかりの上司、残業つづきでやることはたくさんあるのに誰にも頼れない、部下をほめているのに全然成長しない、など時には心がくじけてしまうことがあります。

そういった悩みに対しては心理学でいう共同体感覚をもつことがヒントになります。自分から進んで他人を理解すること、自分の能力には限界があることを認め、信頼して人を頼ることでやる気がでて自信を回復することができるようになります。

また、人を伸ばすには叱ることも褒めることもおすすめできません。人を成長させるのは相手が自分でできるようにサポートすることです。人を変えることはできませんから変える手伝いをすることが大事です。

完璧主義に陥ることもよくありません。人間関係はベストを目指すのではなくより良い関係を目指すことで自己肯定感が高くなり自信を取り戻すことができるようになるでしょう。

それでは見ていきましょう。

理解を求めるのではなく自分から理解することで自己肯定感が上がる

「誰にも理解されない」と感じる悩みに苦しむ人は、多いのではないでしょうか。誰にも理解されないと感じる人はまず自分自身から理解することが大切です。この悩みは心理学でいう「共同体感覚」を欠いている状態を表しています。つまり、周囲の人たちを信頼できず、また、自分自身を受け入れられていないのです。

良い2つの質問があります。1つ目は、「理解してくれる人は1人もいないのですか?」ということです。あなたが勝手に思い込んでいるだけで、意外な場所に理解してくれる人がいる可能性があります。ただ、それに気づいていないだけかもしれません。

そして、もう1つの質問は、「あなたは周りの人たちのことをどれだけ分かっているのですか?」です。自分自身が「わかってほしい」と思うだけでなく、周りの人たちを理解することも大切です。

自分のことを「わかってほしい」と思っても、周りの人たちに自分を完全に理解してもらうのは難しいものです。あなた自身も周りの人たち全員について十分に理解することはできないのと同じです。

あなたも周りの人たちの一人であり、他の人から見れば、あなたもまた同じように「わかっていない」存在に過ぎません。ですから、まずはお互い様という立場で、自分から動くことが重要です。

まずは自分から周りを理解することを始めることで良好な人間関係を築くことができます。自分が相手を理解することが目的となり、自分自身も理解されることを求める気持ちが和らぐことで、周りの人たちとの関係性を改善することができます。

また、相手に対して興味を持ち、話を聞いてあげることで、相手もあなたに対して興味を持ち、理解しようとするようになるかもしれません。

自分から動くことで、周りの人たちに自分を理解してもらう第一歩を踏み出しましょう。ただ待っているだけでは、状況は変わらないかもしれませんが、自分から行動することで、変化を起こすことができるはずです。

自分から理解しようとするから自分を分かってもらえる

「共同体感覚」とは、共同体に所属する人々が互いに持つ所属感・共感・信頼感・貢献感のことであり、精神的な健康の指標とされています。共同体感覚を培うためには、自分を認めること、相手を信頼すること、そして他者への貢献が大切です

つまり、自分の居場所をつくって、周りの人たちを信頼し、役に立とうとすることです。ただ、相手が何かしてくれるのを待つのではなく、自分から始めることが重要です。

順番として、周りが自分を理解してくれないかどうかではなく、自分が周りを理解しているかどうかです。例えば、「あの人は挨拶しないから、私はしない」と考えている人がいるかもしれません。しかし、これでは関係性は改善されません。

相手が自分を理解してくれることを求めるのではなく、自分から相手を理解することが大切です。自分から声をかければ、相手も挨拶を返してくれるでしょう。つまり、相手を理解するためには、自分からコミュニケーションをとることが必要なのです。自分から始めること。周りを理解しようとする姿勢が、共同体感覚を育てる第一歩となります。

「あなたのため」という叱り方はイライラして怒っているだけ

「怒ってばかりの先輩にあなたのためよと言われた」という悩みに直面したことはありませんか?このような場合、必要なのは二次感情の「怒り」ではなく、正直な一次感情です。「あなたのために厳しいことを言っているの」と言われても、怒られると気持ちは落ち込んでしまいます。

部下や後輩を叱るときに、感情に任せて怒っているのではないことを主張する人がいますが、このような言葉であっても、「できない自分」を責めてしまう人がいることも事実です。何度も繰り返されると、自信を喪失して心が折れてしまうかもしれません。

「心が折れる」とは、心理学でいうところの、「勇気が挫かれている」状態です。勇気とは、より良い行動をとるためのエネルギーのようなものです。従って、勇気が挫かれ、心が折れてしまうと、人間は自己肯定感が下がりやる気がなくなってしまいます。

そこで重要なのが、自分や相手に対する「勇気づけ」です。怒りをぶつけられた部下や後輩は、自分の失敗や不適切な行動に対して自信を失い、萎縮しています。そのようなとき指導者としては、叱ることよりも注意を与え、勇気づけることが求められます。

勇気づけには共同体感覚を育むことが欠かせません。「あなたのために怒っている」といった表現は、相手に対して勇気づける効果は期待できません。代わりに、指導者は自分の一次感情を伝えることが大切です。

「私はあなたの失敗がとても残念に感じている」という具体的な表現が、相手に対して真の勇気づけをもたらすのです。勇気とは建設的な行動をとるためのエネルギーであり、そのエネルギーを引き出すことが真の勇気づけの目的です。

自己肯定感を高くする叱り方

勇気づけには、厳しさだけでも、優しさだけでも不十分な場合があります。心理学的に見ると、勇気づけには、3つの段階が存在します。1つ目は、お互いの尊敬とお互いの信頼の関係の中で行うこと。2つ目は、相手が自分自身を勇気づけることができるように手助けすること。そして3つ目は、共同体に役立つことを目指すことです。

厳しく叱責することが勇気づけにつながるわけではありません。「お前のためだ」と言っても、その言葉に説得力はありません。お互いに尊敬と信頼が築かれていなければ、何を言っても効果はなく、ただの意見の押し付けです。

勇気づけは、お互いが信頼し合う関係の上に行われるものであり、相手が自分自身を勇気づけることができるようにサポートすることが求められます。最終的には、共同体に役立つような勇気づけが必要です。

相手を勇気づけるためには、自分自身が持つ一次感情について振り返ることが大切です。相手を心配したり、期待したりする気持ちが、勇気づけの基盤となります。叱る時は「私は~で残念」「私はあなたがもっとできると期待している」などの「私は~」がおすすめです。

相手に怒りをぶつけるような言葉で叱られた場合は、「自分の怒りを解消するため」と判断してよいでしょう。そうすれば、感情に支配されず、冷静に対処することができます。相手が感情的になっている場合でも、自分自身の感情に左右されずに、相手に対して穏やかに接することが勇気づけの第一歩です。

他の人を信頼できないから頼れない

「やることをたくさん抱えてつらくても、ほかの人を頼れない。」という悩みを抱えている人がいます。他人を信頼するためには、まずは自分自身を受け入れることが大切です。

周囲の人に頼れない人は責任感が強いように見えて、実際には共同体感覚を失っていることがあります。共同体感覚を取り戻すためには、他者への信頼が欠かせません。他者信頼とは、人間関係の基盤を、条件つきではなく、無条件の信頼に置くことを指します。

信頼できる仲間を見つけることができれば、家庭や職場に深く取り組むことができるようになるでしょう。ただし、すべての人を信頼するわけではありません。信頼関係を築きたいと思っている相手に限定する必要があります。自分の足を引っ張るような人を無理に信頼する必要はありません。

上司や先輩は部下や後輩を育成し、徐々に仕事を任せていくことが重要です。自分が全部やるのではなく職場全体で効率的であり、自身や会社にとっての「戦力」を高めることにもつながります。

職場での最大の目的は仕事をうまく進めることです。そのためには、任せることができる仕事は積極的に任せることが必要です。これは家事の分担などでも同じです。人に仕事を任せることができないということは、その人に信頼することができていないということです。

つまり、協力するための信頼力が欠けているとも言えます。信頼できない理由は、自分自身が「自分より能力がある」と考えているからかもしれません。同僚、部下、後輩であっても、自分より劣った人と見ているため、信頼できないということです。

他者を信頼することで自己肯定感が上がる

ビジネスの世界において、上司や先輩が部下や後輩を育成する際には、「自分には能力があることを証明したい」という心理が働き、仕事を抱え込みがちになってしまう人がいます。この心理は、自分が弱い存在だと思われることを避けたいという虚勢が背景にあるとされています。

このようなコンプレックスが長く続くと、心身共に壊れてしまう可能性もあります。ですから、弱音を吐いたり、協力を求めたりすることは、時にはとても重要です。自分の能力に限界があることを認めることは、恥ずかしいことではありません。

むしろ、それは人間らしさの一面であり、自分自身を見つめ直す機会にもなるはずです。自分自身を受け入れ、そして信頼し合うことで、組織全体がより良い方向に進んでいくことができるでしょう。

仕事で多忙な状況に陥り、ストレスや負担を感じることはよくあることです。しかし、そのような状況に陥ったとき、それはあなたがすでに信頼されていることを示していると考えることもできます。

仕事を振られるということはあなたの能力は既に認められています。そう考えると、認められているあなたが人に頼って助けを求めることが悪いことではなく、むしろそのような行動が求められることになります。

自分自身の能力を過大評価してしまい、他人に頼ることを躊躇してしまうことはよくあることですが、それは虚勢を張っていることに他なりません。自分自身の限界を認め、他人に協力を求めることができるようになれば、ストレスもなくなり、業務の効率も上がることが期待されます。

人間にとって、他者から信頼されることは、非常に嬉しいことです。仕事に限らず、日常生活でも、自分の能力を認めてくれる人からの信頼は、やる気を引き出し、自信を持って物事に取り組むことができるようになります。つまり、自分の限界を認め、他者を信頼することは、より豊かな人生を送るための大切な要素の1つであると言えます。

人を伸ばすには褒めるのではなく自立を促す勇気づけ

「褒めて伸ばす方針で後輩を育てるつもりが、なかなか成長しない」という悩みを抱えている人がいます。しかし、実は「褒めて伸ばす」やり方も、「厳しく叱る」やり方と同じく、人を成長させるためにはいいやり方ではありません

部下や後輩を育てるためには、「きびしく叱る」方法と「褒めて伸ばす」方法があります。しかし、きびしく叱っても褒めて伸ばしても、相手に勇気づけることができず、成長を促すことができません。

良いところを見つけ、積極的に褒めているにもかかわらず、相手の成長を実感できないというのは勇気づけができておらず相手が困難を克服するためのエネルギーを与えることができていないのです。

「勇気づけ」とは、「自分でできるようになることを手助けする」という意味であり、勇気づけをして、それで終わりというわけではありません。勇気づけられた部下が、さらに自分で自分を勇気づけられるようになることが理想です。

そのために重要なのが、職場や家庭など集団への貢献です。単に「よくやったね」と褒めるだけではなく、「私はすごく助かった」と素直な感情を伝え、職場や家庭に貢献したこと、あなたのおかげで役に立っているということを横の関係から伝えることが重要です。

褒めても叱っても成長しない、大事なことは自立できるように

「褒められなければ動かない人間に成長はない」とは、一見すると褒めることの大切さを説いた言葉のように感じられますが、実はその逆を言っているとも言えます。褒められることに依存し、それがなければ自分を動かすことができない人間は、真の成長を遂げることはできません。

なぜなら、そのような人間は自分自身の力で動くことを学ぶことができず、外部からの刺激に依存してしまうためです。

また、褒めることにも限界があります。アメを与え続けると、人はそのことに過剰に依存するようになります。さらに、褒めることは外発的動機づけであり、使い続けると慣れてしまい、永続的に刺激を高めていかないと効果が薄れるという問題点があります。

褒めて伸ばそうとすると、相手は「もっと褒めてほしい」という依存状態になり、褒められなければ動かない人間になってしまいます。

そこで、大切なのは褒めることではなく、自分自身で動けるようにすることです。自分で考え、自分で行動することを促し、失敗したとしても自分で立ち上がり、再度挑戦することを学ぶことが大切です。

これには、自分自身の成長を促す自己肯定感の高さが必要不可欠です。自分自身が望むことを行うことで得られる満足感や達成感から生まれるもので、外部からの刺激に頼ることなく、自分自身が動くことができます。

人を成長させるためには、自立を促す勇気づけが欠かせません。しかし、勇気づけには、相手との信頼関係が必要です。たとえば、皮肉を言い慣れた人から「ありがとう」と言われても、その言葉が真実なのか疑ってしまうでしょう。

勇気づけるときには、相手の目を見て話すことも重要です。表情や身振り手振りも、伝える意図があってこそ相手に伝わるのです。さらに、勇気づけには、発信者や受信者の性格、そして伝える手段が合っているかどうかも重要です。

信頼関係が築かれたうえで、適切な方法で勇気づけを行えば、相手は褒められるというアメに依存することなく、自立した人間に成長していくことができるでしょう。

相手を変えることはできないことを理解してお互いの考えを尊重する

「恋人が自分の話を聞いてくれない!」という悩みは相手との共感が足りないから起こることが多いです。より良い関係を築くためには、ベストではなくより良い関係を目指すことが重要です。

人としての価値はみな同じですが、考え方には違いがあります。相手の関心や考え方、意図、感情、そして置かれている状況について理解する共感力が、健全な人間関係をつくるために必要です。

共感力が不足していると、相手が自分の話を理解してくれないと感じたり、話を聞いてもらえないという問題が生じたりすることがあります。したがって、相手とのコミュニケーションを改善するためには、相手の言葉や行動から何を望んでいるのかを探り、彼らの状況や背景に対して適切な理解を持つことが重要です。

例えば「妻は常に家計が苦しい、お金が足りないなぁと嘆いていました。」という妻の悩みに対しての回答が「何にお金を使って、どのくらい足りないのか、まず証拠として家計簿を見せてくれ」と言ってしまうと大変です。

何にいくら使ってとか証拠をみせろというのはいわば仕事の発想です。論理的に考えることはいいことではありますが、妻は解決を求めているのではなく共感を求めていました。そうなると話が噛み合わず話を聞いてくれないという印象になってしまいます。

失敗した原因は、仕事で身につけた論理的な発想を家庭に持ち込んでしまったことです。自分の感覚を相手に押し付けようとするのは、間違いなく失敗の元です。

ベストを求めるのではなくより良い関係を目指す

夫婦や恋人関係の改善には、2つの主要なアプローチがあります。1つは「改善アプローチ」で、問題の原因を特定し、それを改善することを目的とするアプローチです。

原因を探ることは、問題解決の第一歩であるとも言えますが、原因は一度見つけても、自分の力で変えることが困難な場合もあります。また、改善に執着しすぎると、完璧な状態を追い求めるあまり、心が折れてしまうこともあります。

もう1つはより良い関係を目指すアプローチです。原因を特定することよりも、現在の夫婦関係を認め、もっと良くする方法を考えるアプローチです。つまり、問題の解決よりも、現状を向上させることに注力します。このアプローチをとることで、誰も傷つけることなく、様々なアイデアが生まれることもあります。

ベストを目指すことは素晴らしいことですが、完璧主義になりすぎると、悪い部分を正そうとして逆に関係を悪化させてしまうこともあります。正すという行為は相手を支配しようとすることにつながることがあります。

夫婦関係、恋人関係を改善するためには、相手を認め、共に目的を持って協力し合うことが大切です。ベストよりもベターな関係を目指しましょう。お互いが対等の関係である「横の人間関係」を意識すると良いでしょう。

なぜ問題が生じたのか、原因を探っても解決にはつながりません。自分が思い通りに動いてくれない相手に対して、言うことを聞かせようとするのは、「より良い夫婦関係をつくる」という目的から外れた行動です。

相手と自分の違いを受け入れ、相手の考えに寛容になることで、より良い関係を築くことができます。ペストではなく、ベターを目指すことで、「言うことを聞いてくれない」という不満を解消することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。心がくじけてしまったときの対処方法について解説をしました。重要なポイントを下記にまとめました。

理解を求めるのではなく自分から理解すること
自分から先に周りを理解することを始めることで良好な人間関係を築ける
共同体感覚を培うためには、自分を認めること、相手を信頼すること、そして他者への貢献が大切

「あなたのため」という叱り方はイライラして怒っているだけ
自分や相手に対する「勇気づけ」を意識。 指導者は自分の一次感情を伝える
勇気とは建設的な行動をとるためのエネルギー、真の勇気づけの目的はエネルギーを与えること
相手を心配したり、期待したりする気持ちが、勇気づけの基盤

他の人を信頼できないから頼れない
他人を信頼するためには、まずは自分自身を受け入れる
責任感が強いように見えて、他人を信用していない
自分の能力に限界があることを認め頼る
能力を認めてくれる人からの信頼は、やる気を引き出し、自信を持って物事に取り組める

人を伸ばすには褒めるのではなく自立を促す勇気づけ
「褒めて伸ばす」やり方も、「厳しく叱る」やり方もNG.
相手が困難を克服するためのエネルギーを与えることができていない
「勇気づけ」とは、「自分でできるようになることを手助けする」こと
大切なのは褒めることではなく、自分自身で動けるようにすること
自分で考え、自分で行動することを促し、失敗したとしても自分で立ち上がり、再度挑戦できるように

相手を変えることはできないことを理解してお互いの考えを尊重する
相手の関心や考え方、意図、感情、そして置かれている状況について理解する共感力を育む
原因を特定することよりも、現在の夫婦関係を認め、もっと良くする方法を考えるアプローチ
完璧主義になりすぎると、悪い部分を正そうとして逆に関係を悪化させてしまう
言うことを聞かせようとするのは、「より良い夫婦関係をつくる」という目的から外れた行動です。
相手と自分の違いを受け入れ、相手の考えに寛容になる

他にも下記のようにいやな感情とうまく付き合って自己肯定感を高める記事がありますので参考にしてみてください。

「あいつがうらやましい… -嫉妬の正体-」

「怒りという感情を知って自己肯定感をあげよう」

「なんで自分は自信がないんだろう 自己肯定感が低い理由」

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